日本語には、同音異義語が沢山ありますよね。
同音異義語を前に、こんな文章にはどちらの言葉を使うのか、悩んでしまう事はしょっちゅうです。
学校の課題やテストなら、使い方が不正解だった時は「✕」をもらうだけで済むのですが、仕事の中で使う場合は、そうはいきません。
そんな同音異義語の中でも特に使い分けが難しいと感じた2つの言葉、「異常」と「異状」を、今回調べてみた結果をお伝えします。
「異常」の意味とは?
まず、「異常」を辞書で調べてみましょう。
- (1) 普通と違っていること。正常でないこと。また、そのさま。
- (2) 「正常でない」「通常でない」「健常でない」などとされることの総称。
となっています。
対義語は「正常」です。
そして、「異常」と「異状」に使われている違う漢字「常」と「状」の意味もみてみましょう。
「常」の意味は、
- (1) いつもそのままで変わらないこと。また、不変のきまり・ことわり。
- (2) ありふれたさま。
となっています。
その「常」と異なっているのが「異常」です。
「異状」の意味は?
次に、「異状」を辞書で調べてみました。
- (1) 普通とは違う状態。
- (2) 普通(いつも)と違った、何か変わった状態。
となっています。
対義語は「平常」です。
「異常」と同様に、「異常」と「異状」に使われている違う漢字「常」と「状」の意味もみてみましょう。
「状」の意味は、
- (1) すがた。かたち。外面に見える様子。ありさま。
- (2) 形や性質を表す語。
となっています。
その「状」と異なっているのが「異状」です。
「異常」と「異状」の違い
辞書で意味を調べただけだと、「異常」と「異状」の違いって、ちょっと分かりづらいですね。
意味だけでなく、単語としてどういう風に使われるのかをみてみましょう。
「異常」は、名詞・形容詞・形容動詞として使います。
例文:
- 畑に害虫が異常発生した。
- 今年の冬は異常に寒かった。
- 彼はその事に異常な執着心を見せた。
など。
「異状」は、名詞として使います。「異常」のように形容詞・形容動詞としては使いません。
例えば、
- かつてない異状を呈している。
- 現場には特に異状は認められない。
- 私の体調に異状はない。
など。
「異常」と「異状」の使い分け
「異常」と「異状」の使い分けですが、いくつか例文をあげてみます。
(1) いじょうを検出したので、機械を修理に出した。
(2) 他の人と較べて、彼のいじょう性は際立っている。
(3) 仕事の進行にいじょうはありません。
(4) 今年はいじょう気象と言わざるを得ない。
正解は分かりましたか?
(1)と(3)が「異状」、(2)と(4)が「異常」という答えになります。
(1)は、機械が普段と違う状態を検出したので「異状」を使います。
(2)は、彼の状態が正常とは言えない様子が際立っているので「異常」を使います。
(3)は、仕事の進行の状態が平常なので「異状」を使います。
(4)は、今年の天候が正常な天候と言えないので「異常」を使います。
まとめ
「異常」と「異状」の意味と使い分けについて、ご理解いただけたでしょうか。
どうしても分からない、という時は、名詞・形容詞・形容動詞として多様に使える「異常」を使うようにしましょう。
「異状」を使うべき場面で「異常」を使うほうが、「異常」を使うべき場面で「異状」を使うよりはるかに良いからです。
例えば、「異状な状態」とは言わないですし、名詞的な使い方でも「異状気象」とは決して言わないですからね。