あなたが社会人になってから、今まで出会った事のない習慣やマナーを見聞きして、でも、周囲は当たり前にこなしているので、意味がわからなくても聞くに聞けずに困る事、結構多くないですか?
そんな習慣やマナーの1つに「寸志」と「志」があります。
もらったけれど、どういう意味を持つのか、自分から渡す時はどうしたらいいのか、知らないと困ってしまいますよね。
という事で、今回は「寸志」と「志」について解説していきます。
「寸志」とは?
「寸志」を辞書で調べると、いくつかの他の意味と並んで、
- 心ばかりの贈り物。
- 自分の贈り物をへりくだっていう語。
- 贈り物ののし紙の上などに書かれる。
とあります。
もしかしたら、もう誰かにいただいたご経験があるのではないですか?
「志」の意味とは?
「志」を辞書で調べると、いくつかの他の意味と並んで、
①謝意や好意などを表すために贈る金品。②香典返しや法事の引き出物、僧への布施の包みの表に書く語。
とあります。
法事などでご覧になったご経験があるかも知れませんね。
「寸志」と「志」の違いは?
「寸志」と「志」は、どなたかに謝意や好意を持って渡す金品という事で共通しています。
違うのは、
「寸志」は、目上の人間から目下の人間に渡す金品です。
社会では主に歓送迎会などで、主賓から幹事に渡されます。でも、主賓が新入社員であった場合には渡しません。
そして、目下の人間から目上の人間には、決して渡しません。
「寸志」というのは「寸」=少しばかりの「志」=気持ち、という意味ですので、目上の人に対して、とても失礼な行為になってしまうからです。
「志」には、そういう上下関係はないので、目下の人間から目上の人間に渡しても大丈夫です。
ただ、「志」は、不祝儀の祭礼などでお世話になった方に渡す金品、というイメージを持っていらっしゃる方が多いので、それ以外の時は「御礼」という表書きのほうが無難です。
「寸志」と「志」~袋の書き方は?
「寸志」と「志」の袋への表書きのマナーは同じです。
封筒の水引きが中央にあります。「寸志」または「志」、と、水引きの上に書き、水引きの下の中央に、渡す人間の名前を書きます。
会社などで役職がある場合、あるいは会社名または所属部署と名前を並べて書く必要がある時は、中央に名前が来るようにして、会社名または所属部署を名前の右上に小さめに書きます。
連名は3人までです。会社の人間なら地位が高い人から順に右から左へ並べます。4名以上の場合は代表者一人のみを表書きして、それ以外の人間の名前は別紙に書いて封筒に入れるようにします。
筆記用具は毛筆がベストですが、なければ筆ペンで、あるいは太字のサインペンで濃い黒字で書きます。
不祝儀で渡す「寸志」と「志」の場合は薄墨で書きましょう。
「寸志」と「志」~渡すタイミング
「寸志」を渡すタイミングですが、歓送迎会などのイベントの場合は、会が始まる前に、幹事の方に、なるべく人目につかないように渡すようにします。
何故なら、会の間に、幹事の方が、
「主賓の方にお志をちょうだいしました」
と出席者に発表する場面があるからです。会が始まる前に必ず渡して下さい。
金額の相場は、その会の規模にもよりますが、大体5000円から1万円です。末広がりの8が演技が良いので8000円でも良いでしょう。
「志」を、旅行の時の旅館の仲居さんや、祭礼の時にお世話になった方に渡すタイミングは、旅館なら挨拶を受けた時、お世話になった方なら式事の最初の方に渡しましょう。
金額の相場は、仲居さんや祭礼の係の方へは、大体2000円から3000円です。
「寸志」をいただいた時の注意事項
なお、「寸志」をいただいた後のマナーですが、いただいた事を報告する係を任された時、絶対に、
「寸志をちょうだいしました」
と言ってはいけません。とても失礼になります。
「粗品をちょうだいしました」
と言い換えると、失礼だという意味がよく分かると思います。
「お志をちょうだいしました」
と報告するようにしましょう。
まとめ
「寸志」と「志」について、お分かりいただけたでしょうか。
「寸志」は、ボーナスの額が相場より低かった際に、封筒に表書きされる事もあります。
これからよく出会うものですので、渡す時、いただいた時のマナーをよく覚えておくようにしましょう。