仕事をしていくうちに、よく似ているけれど、どちらを使うのがより正しいのかとっさに判断できない類義語というものが、いくつも出てきます。
あなたは、どちらの単語をどのケースに当てはめるか、悩まずに判断できますか?
様々な類義語の中に、あなたもよく耳にされる事があると思われる2つの単語、「要因」と「原因」があります。
今回は、この「要因」と「原因」について解説します。
「要因」と「原因」それぞれの意味について
「要因」を辞書で調べると、
「物事がそうなった主要な原因」
となっています。
「原因」を辞書で調べると、
「ある物事や状態を引き起こしたもとになった事・出来事」
となっています。
この2つの意味を捉えると、ある物事が起こった時、起こったきっかけになったものを「原因」、きっかけがいくつか考えられる場合、それらを「要因」と呼ぶ事になります。
上記だけでは、どういったケースで「要因」、または「原因」を使うか分かりにくいかも知れませんので、例になるケースを3つ挙げてみます。
「要因」と「原因」の使い分け
例1
例:日頃から不仲であるAさんとBさんが口論した。
このケースでは、口論したのは、
原因:AさんとBさんが不仲であるから
となります。
そして、
要因:不仲であるAさんとBさんが今回口論に至った理由のいくつか
となります。
例2
例:新規プロジェクトのAの部分が特にクライアントに評価され、成功した。
このケースでは、プロジェクトの成功の、
原因:Aの部分が特にクライアントに評価されたから
となります。
そして、
要因:Aを含めた他の要素がクライアントに評価されたから
となります。
例3
例:最近多忙のAさんは、寝過ごして仕事に遅刻した。
このケースでは、仕事に遅刻したのは、
原因:寝過ごしたので
となります。
そして、
要因:疲れがたまっていた、体調が良くなかった
などになります。
「要因」と「原因」の違い
今回、「要因」と「原因」の意味や使い方を調べた際目についたのは、
- 原因は、基本的に1つである、特定できるもの
- 要因は、複数の原因が集まったもの、1つに特定できないもの
という形で違いを引き立てているものでした。
ケースによっては原因が1つに絞れない事がありますが、その複数の原因が特定できるものの場合は、その複数が「原因」とされる事もあります。
例えば、「高齢のAさんが居眠り運転で事故を起こした」というケースでは、事故の原因とされるのは、
① Aさんが高齢である事
② Aさんが居眠りをした事
の2つになります。
ただ、このケースでは、解釈によっては、
原因:Aさんが居眠りをした事
要因:Aさんが高齢である事
となる事もありますし、それも間違いではありません。
注意しておきたいのは、
- 原因は、特定できるもの
- 要因は、1つに特定できないもの
の2点です。
この部分をしっかり抑えておけば、要因と原因の使い分けは大丈夫です。
まとめ
「要因」と「原因」の意味に違いや使い分けについての解説、ご理解いただけたでしょうか。
この2つの単語を、仕事以外の日常生活で目にするのは、事件や事故のニュースの中で、
「○○が起こったのは✕✕が原因である」
「○○が起こったのは✕✕を始めとしたいくつかの要因がある」
といった感じの文章ではないでしょうか。
日頃から、この2つの単語が出た時、文章の全体を掴むようにすれば、「要因」と「原因」の使い分けは自然に身についていきます。
しっかりと違いを理解して使い分け、仕事の中で、日常生活の中で活かせるようになりましょう。