これからお子さんを持つ親となるあなたは、生まれてくる子供の名前を、もう決めてありますか?
ドラマや映画などに出ている魅力的な登場人物、あるいは演じている俳優の名前から取る人もいれば、名前ランキングをチェックして、そこを参考に決める人もいます。また、言葉の響きから漢字を当てて命名する人も。
考えていくときりがないですが、今回は、人気の高い「凛」と「凜」という字について取り上げてみます。
「凛」と「凜」、どちらも、命名に悩んでいる間にご覧になった事があるのではないでしょうか。
たまひよの2017年の名前ランキングの女の子部門で、凛が5位、凜が14位でした。
明治安田生命の2017年の名前ランキングの女の子部門では、凜が9位、凛が14位と順位が逆転していますが、どちらも上位ですよね。
という事で、「凛」と「凜」の読み方と意味について、解説します。
「凛」という字の読み方と意味
まず、「凛」という字の読み方です。
基本的には「りん」と読みます。
動詞で「凛々しい」と書いて「りりしい」と読むことから、「り」という読み方にして他の漢字と組み合わせて名前にする人も多いです。
例えば、「杏凛」と書いて「あんり」と読むこともあります。
「凛」という字を辞書で調べると、
②寒さのきびしいさま。
③数量がきわめて正確であるさま。
とあります。
①と②の意味を持つ形容詞として「凛とした」という言葉を使います。読み方は「りんとした」です。
今までご紹介した読み方は音読みで、訓読みですと、「凛い」「凛まじい」と書いて「さむい」「すさまじい」と読みます。
「凛」と「凜」の違い
「凛」に続いて「凜」を調べてみましたが、この2つの漢字は同じ意味でした。
どういう違いかというと、
という違いなのです。
ここで「俗字」と「正字」について、説明します。
- 俗字
正字ではないが世間一般に使われている漢字。「恥」を「耻」、「卒」を「卆」、「館」を「舘」と書くなど。
- 正字
①正しい書き方をした漢字。誤字・当て字に対していう。
②略字・俗字などに対して、正式の字。また、当用漢字・常用漢字の新字体に対して、そのもとの字。「円」に対する「圓」、「当」に対する「當」の類。
とあります。
「俗字」と「正字」と言われてもあまりピンとこないという方には、他の違いをご紹介します。
「凛」は「凜」の新字体なのです。
つまり、「凛」が新字体、「凜」がその旧字体という事になります。
ですので、現在では「りん」という字を使う時、新字体である「凛」のほうが多く使われています。
また、JISの水準でも、「凛」がJIS第1水準、「凜」がJIS第2水準に指定されています。
「凛」と「凜」、どちらを選ぶ?
「凛」と「凜」、どちらを名前に使おうか、悩んでしまいますよね。
「凛」と「凜」は読み方も同じ、意味も同じ、画数も同じです。
そしてどちらも、人名に使える漢字です。
迷った時は、2つの字の使い勝手から見てみましょう。
「凛」はJIS第1水準、「凜」はJIS第2水準です。
JIS第1水準は、JISで定められた漢字の規格で、特に使用頻度の高い2965字を指します。
JIS第2水準は、第1水準よりも使用頻度の低いもので、地名や人名、旧字体などを含む3388字です。
ほとんどの日本語システムやフォントが第2水準まで対応しているのですが、言い換えれば、一部は第2水準まで対応していないという事になります。
これはどういう事かと言いますと、パソコンやスマホに「りん」と入力した時、「凛」は変換されるけれど「凜」は変換されない、という可能性があるという事なのです。
まとめ
「凛」と「凜」、どちらを選んでもどちらも良い名前なのですが、デメリットがあるとするなら、前の項で解説しました、
「凛はパソコンやスマホで問題なく変換されるが、凜は変換されない場合がある」
という点です。
もしもその点が気になるようでしたら、新字体でJIS第1水準の「凛」を名前に使うのがベターではないでしょうか。