仕事で接する文書でも、日常目にするニュースや新聞などでも見かける事の多い、「守」という漢字の使われている単語と言えば、
- 遵守
- 順守
- 厳守
の3つではないかと思います。
特に、仕事の上では、この3つの単語の使い分けが必要になってきます。
いざという時困らないよう、この3つの単語の意味と使い方について、学習しておいた方が良いのではないでしょうか。
遵守とは
遵守を辞書で調べると、「法律や道徳・習慣を守り、従うこと。循守」と記載されています。
「循守」という表記もありますが、あまり見かけませんね。
例文としては、
- 法令を遵守する。
- 利用細則を遵守する。
など、辞書に記されている意味の通り、法令や規則などを守る事を意味します。
よく「遵守」として記載される単語に「尊守」がありますが、これは間違いです。「尊守」などという単語はありません。
上記で分かるように、「遵守」はその文字の形から「そんしゅ」と読まれるケースも見受けられますが、これも間違いです。
「遵守」は「じゅんしゅ」と読みます。
読み方を抑えておけば、「尊守」「そんしゅ」などと記載したり口にしたりして恥をかいてしまう事はなくなりますので、しっかり頭に入れておきましょう。
順守とは?遵守との違いについて
順守を辞書で調べると、「法律や道徳・習慣を守り、従うこと。循守」と記載されています。
遵守と全く同じです。つまり、
では、なぜ違う漢字が用意されているのでしょうか。
「じゅんしゅ」は、元々は「遵守」という文字が使用されていたのですが、昭和29年、国語審議会報告の当用漢字補正資料で、「遵守」の「遵」は、当用漢字表から削除される候補に入ったのです。
そこで、日本新聞協会は、「遵守」を「順守」と記載する事に変更しました。
つまり、「順」は「遵」の代替文字だったのです。
ですが、結局、「遵」は、当用漢字表から削除されませんでした。
そのため、「遵守」は現在でも使われていますが、新聞始めとしたマスコミ関連の文書では「順守」が使われているのです。
厳守とは?遵守・順守との違い
順守を辞書で調べると、「命令や約束などを、きびしく守ること」と記載されています。
例文としては、
- 待ち合わせ時間を厳守する。
- 会社規則を厳守する。
など。文字の通り、「厳しく」守る、のが、言葉の意味です。
「遵守・順守」が基本的に「法令や規則を守る」という意味で使われるのに対し、「厳守」は、親の言いつけであるとか、人との約束事であるとか、そういった日常的な事象にも、広く使われています。
そのため、「遵守・順守」に較べると、使われている文字は「厳」だけど、意味は若干緩いのではないか、という意見もありますが、決してそんな事はありません。
日常の些末な事から法律まで、広くカバーできるのが「厳守」なのです。
遵守と順守と厳守を使い分けよう
この3つの単語は、それぞれ意味を知れば、使い分けはそれほど難しくありません。
「規則を守る」という意味で使う場合、通常は、
規則を遵守する
で良いですが、より厳しく守るという意味で使う場合は、
規則を厳守する
と記載するのがベターです。
同じ意味を持つ「遵守」と「順守」の場合ですが、ビジネス文書や公的文書では「遵守」を使うのが正解です。
ただし、マスコミ関連の文書では、なるべく「順守」を使うようにしましょう。
まとめ
遵守と順守と厳守という3つの単語、意味と使い方、ご理解いただけたでしょうか。
一度頭に入れてしまえば、悩むほど使い分けの難しい単語ではありませんので、この機会にしっかり覚えておくようにしましょう。